エキゾチックアニマルの病気
エキゾチックアニマルとは犬や猫以外のペット動物全般の呼び方です。
ウサギやフェレット、ハムスターなどが当てはまりますね。
近年エキゾチックアニマルを飼育している方が増えています。
エキゾチックアニマルも犬や猫同様に様々な病気にかかる恐れがあります。
しかし犬や猫と違って診察してもらえる動物病院は多くありません。
当院ではエキゾチックアニマルの診療経験豊富な獣医師が在籍しています。
エキゾチックアニマルがかかりやすい病気について知っておいて、いざという時はぜひ当院へご来院ください。
ウサギがかかりやすい病気
ウサギは草食動物で、チモシーなどの牧草に加えて専用のペレットを主食にしています。
警戒心が強く、繊細な性格の子が多いのが特徴です。
当院でもウサギでよく診察する病気について2つご紹介します。
不正咬合
ウサギの不正咬合とは歯が過剰に伸びて咬み合わせが異常になってしまう病気です。
ウサギの歯は犬や猫とちがって生涯伸び続けます。
ウサギは伸びた歯をチモシーなどの牧草をよく噛んで食べることで歯をすり減らして正常な長さにしています。
しかし食事や遺伝的な原因で歯がうまくすり減らずに伸びてしまうことで不正咬合になってしまうのです。
不正咬合になると食欲不振やよだれ、体重減少などの症状が出ます。
不正咬合を放置すると歯がどんどん伸びて眼球を傷つけてしまう可能性もあります。
ウサギなどの草食動物は食欲がなくなると胃の動きが止まってしまうため、不正咬合は命に関わる病気です。
早期発見早期治療が重要ですね。
不正咬合の治療は伸びた歯のトリミングを行うことです。
不正咬合の状態によっては全身麻酔で歯の処置を実施します。
不正咬合は一度かかると繰り返すことの多い病気です。
治療してもらった後も定期的に動物病院へ通い、歯の様子を見てもらうのがいいですね。
不正咬合の予防には食事の管理が重要ですす。
ペレットではなく牧草メインの食事にすることで予防することができます。
不正咬合にならないために普段から食事に気を遣うようにしましょう。
ウサギの不正咬合についてさらに詳しく知りたい方はこちらから
ウサギの不正咬合について|その食欲不振、歯が原因かも?
消化管うっ滞
ウサギの消化管うっ滞は様々な原因で消化管の動きが低下したり停止したりすることでおこる病気です。
消化管うっ滞は食事の繊維不足やストレス、毛玉などが原因になります。
消化管うっ滞がおこると
- 元気食欲の低下
- 便が出なくなる、小さくなる
- お腹を痛がる
- うずくまって動かない
などの症状が出ます。
初期の症状はいつもより元気がない、食欲がないかもといった軽いものです。
しかし放置すると急激に悪化して亡くなってしまう可能性もある怖い病気です。
早くに発見して治療してもらうことが大事ですね。
消化管うっ滞の治療は胃腸を動かす薬などを使って内科治療を行います。
状態によっては強制食餌や点滴を実施します。
消化管うっ滞になった時は胃腸を動かすのが重要です。
ウサギが全く食べない時は少しでも早く動物病院へ行きましょう。
ウサギの消化管うっ滞についてさらに詳しく知りたい方はこちらから
ウサギの消化管うっ滞について|ウサギの元気がないのは危険なサインかも?
子宮疾患
ウサギの子宮疾患は避妊をしていないメスのウサギで多く見られる病気です。
子宮疾患には色々な病気があり、子宮蓄膿症や子宮腺癌などが特に多くみられます。
子宮蓄膿症は子宮の中に膿がたまってしまう病気で、子宮腺癌は子宮に出来る悪性の腫瘍です。
子宮疾患はほとんどの病気で
- 元気食欲の低下
- 血尿
- 陰部からの出血
が症状として現れます。
しかし多くの場合は症状が出るころには病気が進行しています。
定期的に動物病院で健康診断を行うことが重要ですね。
子宮疾患の治療では全身麻酔をかけて子宮を摘出する手術を行うことが推奨されます。
子宮疾患は避妊手術をすることで予防できる病気です。
ウサギが病気になる前に予防を行うことをおすすめします。
ウサギの子宮疾患についてさらに詳しく知りたい方はこちらから
ウサギの子宮疾患について|ウサギの血尿は要注意?
フェレットがかかりやすい病気
フェレットは食肉目イタチ科に分類されます。
好奇心旺盛で探索が大好きな子が多いです。
専用のフードをメインのご飯にしています。
当院でもフェレットでよくみられる病気について2つご紹介します。
副腎疾患
フェレットの副腎疾患は副腎が大きくなったり腫瘍ができたりする病気です。
副腎とは腎臓の近くにある性ホルモンを分泌する小さな臓器です。
副腎疾患になると
- 左右対称の脱毛
- メスの陰部の腫れ
- 尿が出にくい
- 皮膚のかゆみ
などが起こります。
副腎疾患の治療では副腎から出る性ホルモンを抑える薬を注射する内科療法が多く選択されます。
月に1度注射を打ちながら、症状が抑えられているか確認する治療法です。
内科治療では症状が良くならない場合や、副腎が大きくなりすぎている場合には外科手術で副腎をとりのぞきます。
どちらの治療方法を選択するかは獣医師とよく相談しましょう。
インスリノーマ
フェレットのインスリノーマは膵臓にできる腫瘍です。
フェレットの腫瘍の中では最も発生率が高い病気です。
インスリノーマは膵臓に腫瘍ができることで血糖値を低下させてしまいます。
インスリノーマになると
- 元気がなくなる
- 後ろ足のふらつき
- よだれ
- けいれん
- 意識障害
などの症状が見られます。
インスリノーマは治療せずに放置すると低血糖が重度になり、最悪の場合亡くなってしまう怖い病気です。
初期症状はなんとなく大人しい、元気がないというものなので、いつもと様子が違う気がすると思ったら早めに動物病院へ相談しましょう。
インスリノーマの治療には内科治療と外科治療があります。
内科治療はステロイドを使用して血糖値が下がりすぎないようにすることで、症状を和らげる方法です。
外科治療では全身麻酔をかけて腫瘍そのものを取り除きます。
しかし腫瘍を摘出しても血糖値が安定しないことがあるため、内科治療が第一選択になります。
モルモットがかかりやすい病気
モルモットは人にもなれやすい草食動物です。
鳴き声でコミュニケーションをとる動物で、かわいらしい鳴き声が特徴です。
モルモットはウサギなどと同じようにチモシーなどの牧草や、専用のペレットを食べています。
当院でもモルモットの診察でよくみかける病気を2つ紹介します。
尿路結石症
モルモットの尿路結石症は腎臓や膀胱、尿道などに結石ができる病気です。
尿路結石症の原因はカルシウムの過剰摂取や遺伝的要因だといわれています。
2歳以降のモルモットでよくみられ、オスもメスもかかる病気です。
尿路結石症になると
- おしっこが出にくくなる
- 血尿
- おしっこをするときに痛がる
などの症状が見られます。
尿路結石症の治療は外科手術で結石を除去することが一般的です。
結石が出来ている場所によっては手術で除去することができないため、点滴と痛み止めで結石が移動するのを待つこともあります。
尿路結石症は食餌の管理である程度予防することが可能です。
カルシウムが多く含まれるアルファルファなどの牧草は避け、チモシーなどの牧草を与えるようにしましょう。
モルモットがおしっこをする時に様子がおかしいと感じたら早めに動物病院へご相談ください。
外部寄生虫症
外部寄生虫症はダニやハジラミといった寄生虫がモルモットの皮膚や毛に付着して悪さをする病気です。
特にモルモットヒゼンダニというダニやモルモットズツキダニというダニはモルモットだけに寄生する寄生虫です。
外部寄生虫症になると
- 強いかゆみ
- 全身の脱毛
- 皮膚の炎症
が見られます。
モルモットはストレスにあまり強くないため、外部寄生虫症を放置すると強い痒みによってけいれんや食欲不振を起こすこともあります。
外部寄生虫症の治療は、寄生虫駆除薬で外部寄生虫を駆除することが第一選択です。
食欲不振がある場合は、点滴や強制給餌などの治療もあわせて行います。
薬で駆除するだけではなく、おうちの掃除や消毒も効果的です。
寄生虫駆除薬の中にはモルモットに使ってはいけないものもありますので、市販の駆除薬を使わないようにしましょう。
モルモットが皮膚をかゆがっていたり、皮膚の炎症などがみられたりする場合はすぐに動物病院へ連れていきましょう。
ハムスターがかかりやすい病気
ハムスターは小柄で場所をとらないため、ペットとして人気です。
人になつきやすく、ほお袋に食べ物をしまうのが特徴です。
ハムスターは雑食なため、専用のペットフードのほかにも野菜やヒマワリの種なども食べます。
当院でもよくみられるハムスターの病気について2つご紹介します。
細菌性腸炎
ハムスターの細菌性腸炎はウェットテイルともいわれる病気です。
細菌が原因の腸炎になることで水様性の下痢をして、お尻周りが濡れて汚れてしまうためウェットテイルと呼ばれます。
細菌性腸炎の原因はサルモネラやカンピロバクターと言われる細菌です。
体が弱っていると細菌が活発になりやすいため、ストレスやケージ内が不潔であることも原因だと言われています。
細菌性腸炎の症状としては
- 水様性の下痢
- 脱水
- 食欲低下
- やせる
などがあります。
ハムスターは他の動物と違って細菌性腸炎での死亡率が非常に高いです。
細菌性腸炎の治療には抗生剤の投与や点滴、保温などの内科的治療が必要になります。
しかしハムスターは犬や猫とは違い使える抗生剤の種類に限りがあるため、細菌の種類によっては抗生剤がきかないこともあります。
少しでも感染の可能性を減らすために、ケージ内は清潔に保ちストレスを与えないようにしましょう。
ハムスターに下痢の症状がある場合はすぐに動物病院へご相談ください。
皮膚疾患
ハムスターは様々な原因で皮膚にトラブルが起こることが多いです。
ハムスターの皮膚疾患には
- アレルギー様皮膚炎
- 腫瘍性疾患
- 副腎皮質機能亢進症
- 細菌性皮膚炎
などが存在します。
特にアレルギー様皮膚炎や腫瘍疾患はハムスターには多く見られます。
皮膚疾患では多くの場合
- 赤み
- 痒み
- 脱毛
などの症状があらわれます。
アレルギー様皮膚炎をはじめとする皮膚疾患の多くの治療は、原因に合わせてかゆみ止めやステロイド、抗生剤などを使う内科治療を行います。
腫瘍性疾患の治療は全身麻酔をかけて腫瘍を摘出する外科治療が第一選択です。
皮膚疾患の原因によって治療方法は違います。
ハムスターの皮膚にトラブルがある場合は動物病院で相談しましょう。
小鳥がかかりやすい病気
セキセイインコやオカメインコといった小型の鳥類はペットとして人気があります。
小型の鳥類は人になつきやすい種類が多く、芸を覚えることもあります。
穀物の種子や専用のペレットなどを食べる動物です。
当院でも小鳥の診察でよくみかける病気を2つ紹介します。
卵塞(卵詰まり)
鳥類は哺乳類と違って産卵をします。
卵塞はメスの鳥の体の中で卵がうまく出ずに詰まってしまう病気です。
飼育されている鳥は野鳥と比べて発情をしやすく、産卵の機会が多いため卵塞が起こりやすいといわれています。
卵塞が起こると
- 食欲がなくなる
- 元気がなくなる
- お腹が膨らむ
- 便が出ない
などの症状が出ることがあります。
卵塞は放置すると鳥の体に大きな負担がかかり、呼吸が苦しくなったりけいれんが起こったりと、命に関わることもある病気です。
卵塞の治療ではカルシウム剤を注射することで、いきみを促して産卵させる内科治療を行います。
食欲や元気がない場合は、あわせて点滴なども実施する治療が一般的です。
内科治療で卵が出ない場合には、圧迫して卵を押し出すか、全身麻酔をかけて外科的に卵を取り出します。
卵塞を防ぐためには、発情を抑制することが肝心です。
小鳥を飼う時は動物病院へ健康診断へ連れていき、発情についても獣医師によく相談しましょう。
マクロラブダス症(メガバクテリア症)
小鳥のマクロラブダス症は、マクロラブダスという真菌による胃の病気です。
以前はメガバクテリア症とも呼ばれていました。
マクロラブダス症は様々な鳥にかかりますが、セキセイインコで最もよく見られる病気です。
マクロラブダスという真菌はヒナの時に親からうつるほか、同じケージの鳥の糞からもうつります。
マクロラブダス症にかかると
- 体重減少
- 嘔吐
- 食欲の低下
- 黒いうんちが出る
などの症状がおこります。
マクロラブダス症は、放置すると胃がんの原因になったり、衰弱してしまったりして命に関わる病気です。
マクロラブダス症の治療は抗真菌薬を用いた治療が一般的です。
体重が落ちていたり、嘔吐があったりする場合は胃薬などの内服や点滴などの内科治療を行います。
マクロラブダス症はヒナの時にうつっている可能性があります。
小鳥を飼い始めたら必ず動物病院で健康診断を受けるようにしましょう。
爬虫類がかかりやすい病気
爬虫類は近年飼育している方が増えているペットです。
散歩の必要がなく、鳴き声もないのが人気の理由ですね。
トカゲやカメ、ヘビなど様々な種類がいるため飼育方法や餌もそれぞれ違います。
今回は当院が診察する爬虫類の中でも、トカゲがかかりやすい病気についてご紹介します。
代謝性骨疾患(MBD)
代謝性骨疾患はトカゲに多い病気です。
様々な原因によって低カルシウム血症になり骨に異常が出るのが特徴です。
代謝性骨疾患の原因には、食事のカルシウムの量や紫外線不足などがあげられます。
代謝性骨疾患の症状は
- 食欲がおちる
- 元気がなくなる
- けいれん
- 脊椎や四肢の骨の変形や骨折
などです。
特に骨の変形や骨折は治療しても元に戻りません。
早期発見に加えて病気の予防が重要です。
代謝性骨疾患の治療は、カルシウム注射で血中のカルシウムを補充してあげる内科治療を行います。
食欲や元気がない場合は点滴などもあわせておこないます。
食欲がある場合には注射ではなく食事にカルシウムを混ぜる治療も可能です。
代謝性骨疾患は餌や飼育環境によって予防できる病気です。
爬虫類の種類によって必要な餌や飼育環境は大きく違うので、飼育を始めたら動物病院で獣医師によく相談しましょう。
両生類がかかりやすい病気
両生類は独特な容姿や省スペースで飼育できることから人気が高くなっているペットです。
カエルやイモリ、ウーパールーパーなど様々な種類がいます。
種類によって餌や性格も様々です。
当院が診察する両生類でよくみかける病気を1つ紹介します。
レッドレッグ症候群
レッドレッグ症候群は細菌感染によって皮膚の炎症がおこる病気です。
ウーパールーパーやカエルなどでよく見られます。
レッドレッグ症候群にかかると
- ももやお腹、喉などが赤くなる
- 皮膚がはがれてくる
- 体重が減る
などの症状があらわれます。
レッドレッグ症候群は不衛生な環境やストレス、外傷などが原因でおこります。
レッドレッグ症候群の治療は抗生剤などの薬浴を行う内科治療が一般的です。
あわせて飼育ケージの掃除などの環境改善が必要です。
両生類はあまり動物病院に連れて行かずに自己判断で治療される方が多くいます。
しかしレッドレッグ症候群は病気の治療が遅れると死亡してしまう可能性があります。
両生類の体に気になる症状がある場合は動物病院へご相談ください。
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