神経外科

動物も人間と同様に、神経系の病気に悩まされることがあります。
神経外科は、脳や脊髄、神経といった神経系に関連する疾患を治療する専門の外科です。
神経系に問題が起こると、歩行が困難になったり痛みを感じたりするため日常生活の質が下がってしまいます。
神経外科で行う手術は早期に対応することで回復が期待できるケースが多いです。
神経外科の手術に踏み切るためには、前もって手術について知っておく必要がありますね。
当院では豊富な実績と経験に基づいた神経外科を提供しています。


胸腰部椎間板ヘルニア(ヘミラミネクトミー)

椎間板ヘルニアは犬でよく見られる神経疾患の一つです。
椎間板が飛び出してしまうヘルニアという状態になり脊髄を圧迫することで神経症状が出る病気です。
椎間板ヘルニアが進行すると、痛みや麻痺が起こり、日常生活に支障が出てしまいます。
椎間板ヘルニアはヘルニアが起こる部位によって頸部と胸腰部に分けられます。
胸腰部椎間板ヘルニアは、ミニチュア・ダックスフントなどの胴長短足の犬種に特に多く見られる病気です。
胸腰部椎間板ヘルニアになると

  • 歩行が困難になる
  • 後肢の麻痺
  • 強い痛み

などの症状があらわれます。
初期の症状では抱っこしたときに痛がって鳴いたり、階段の上り下りを嫌がったりなどの行動がみられます。
放置すると麻痺が強くなって排便がしづらくなったり、立ちあがれなくなったりと生活に大きな支障が出てしまいますね。
胸腰部椎間板ヘルニアの治療は、軽度の場合は痛み止めなどの内服治療や安静で症状が改善することもあります。
しかし根本の解決にはならないため、内服で効果がない場合や重症度が高い場合は外科手術が必要です。
胸腰部椎間板ヘルニアの治療では、圧迫されている脊髄を解放するために背骨の一部を除去するヘミラミネクトミーという手術を行います。
当院では内服治療だけではなくヘミラミネクトミーの手術も行っています。

頸部椎間板ヘルニア(ベントラルスロット法)

頸部椎間板ヘルニアは、首の椎間板が神経を圧迫する病気です。
頸部椎間板ヘルニアはミニチュア・ダックスフントやトイ・プードルなどがなりやすい犬種です。
頸部椎間板ヘルニアになると

  • 首をあげられなくなる
  • 前肢や後肢の麻痺
  • 歩けなくなる

などの症状がみられます。
初期ではうつむきがちだったり震えがでたりといった症状もみられます。
重症化すると麻痺が強くなり立ちあがることができなくなり生活に大きな支障が出てしまいますね。
頸部椎間板ヘルニアの治療は外科手術が推奨されます。
頸部椎間板ヘルニアではベントラルスロット法と呼ばれる椎体に穴をあけて椎間板を除去する手術が行われます。
ベントラルスロット法は椎間板を除去することで物理的に脊髄への圧迫を解除する治療方法です。
頸部椎間板ヘルニアは、軽症の場合は内服や安静で症状を緩和させる治療もあります。
ですが根本の解決にはならないため、当院ではベントラルスロット法を用いた外科手術を推奨しています。

綺麗な顔をしているミニチュアダックスフンド

環軸亜脱臼整復術

環軸亜脱臼は特に小型犬に多い病気です。
首にある1番目の骨である環椎と2番目の骨である軸椎の間の関節が不安定になってしまいます。
関節が不安定になることで首の神経を圧迫して首の痛みや四肢の麻痺を引き起こします。
環軸亜脱臼は先天的に首の骨の奇形がある場合や、外傷などによって発症する病気です。
放置して首の神経が重度に損傷してしまうと、呼吸が止まってしまうこともある怖い病気です。
犬が首を痛がると

  • 首の曲げ伸ばしを嫌がる
  • 頭を動かさずに眼だけで物を追う
  • キャンキャンと急に鳴き始める

などの行動をとることがあります。
犬が首を痛がっている様子があれば早めに動物病院へ行くのが大事ですね。
環軸亜脱臼の治療では環椎と軸椎を元の位置に戻し、プレートなどで固定する手術が必要です。
手術が難しい場合はコルセットなどで首を固定する方法をとることもあります。
ですがコルセットを外すと再発することも多いため、整形外科手術を推奨します。
当院では整形外科を得意としています。
環軸亜脱臼の治療方法に悩んでいる場合はぜひ当院へご相談ください。

横を向いているチワワ

水頭症の治療(VPシャント術)

水頭症は脳脊髄液という液体が脳の隙間に過剰に増えて、脳の血圧が上昇してしまう病気です。
脳の血圧が高くなると神経症状が起こったり脳が委縮したりしてしまいます。
水頭症には生まれつきなりやすい先天性と他の病気によっておこる後天性があります。
先天性の水頭症になりやすいのは

  • チワワ
  • パグ
  • トイ・プードル

などの短頭種や小型犬などです。
後天性の水頭症は犬種には関係なく、脳腫瘍や脳炎などが原因でおこります。
水頭症の初期症状では

  • しつけを覚えない
  • 声かけに反応しない
  • ふらふらする
  • くるくると同じところを回る

といった異常な行動や意識の障害が見られます。
気になる行動がある時は動画を撮っておくと診断がつきやすいかもしれません。
水頭症の治療は、脳脊髄液をお腹の中に逃がすVPシャントと呼ばれる整形外科手術を行います。
全身麻酔をかけて脳とお腹を特殊なチューブでつなぐ手術です。
水頭症の症状が軽い場合はステロイドなどの内服で脳脊髄液を減らす治療も行います。
ですが薬に反応しない場合もあるため、当院では外科手術にも対応可能です。

症状別事例

飼い主さまだけが気づいてあげられるペットの変化があります。 どこかいつもと違ったら、ご相談ください。犬、猫はもちろん、ハムスター、モルモット、フェレット、ハリネズミ、ウサギ、鳥、カメなど、当院では、幅広いエキゾチックアニマルの診療を行っています