ウサギの消化管うっ滞について|ウサギの元気がないのは危険なサインかも?
ウサギを飼っていると、突然元気がなくなったり食欲が落ちたりすることがあります。
もしかしたら消化管うっ滞のせいかもしれません。
ウサギを飼っているご家族の中には
「消化管うっ滞ってどんな病気?」
「原因や症状は?」
「どうやって治療するの?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
今回は、ウサギがかかりやすい病気の一つである消化管うっ滞について詳しく解説します。
ぜひ記事を最後まで読んで、大切なウサギを守るために参考にしてください。
ウサギの消化管うっ滞とは?
ウサギの消化管うっ滞とは、ウサギの消化管の動きが低下したり停止したりすることで起こる病気です。
ウサギなどの草食動物は、寝ている時以外は常に胃や腸などの消化管が動いています。
そのため何らかの原因で消化管の動きが止まると、ガスが溜まったり食べたものが詰まったりして体調が急激に悪化してしまうのです。
消化管うっ滞を起こして体調が悪くなってしまう状態をウサギ消化器症候群(RGIS)と呼ぶこともあります。
消化管うっ滞の原因はなに?
なぜ消化管うっ滞が起こってしまうのでしょうか?
消化管うっ滞の主な原因は、
- 食事の繊維不足
- ストレス
- 毛玉の蓄積
などです。
食事の繊維不足
食事に含まれる繊維質が不足すると、腸の動きが悪くなり消化管がうっ滞しやすくなります。
繊維質とはいわゆる牧草のことですね。
食事はペレットではなくチモシーなどの牧草をメインにすることで、消化管の動きが良くなります。
ストレス
消化管うっ滞は環境の変化や音、他の動物との接触などでストレスを受けることでも起こります。
環境だけではなく、歯が痛い、お腹が痛いなどの病気の症状によるストレスも原因の一つです。
毛玉の蓄積
物理的に消化管が詰まってしまうことでうっ滞を起こすこともあります。
自分で体をグルーミングして毛をなめとっているうちに、胃や腸に毛が溜まってしまうことがあるのです。
消化管うっ滞はどんな症状が出るの?
消化管うっ滞になると、以下のような症状が見られることがあります
- 元気や食欲の低下
- 便が出なくなる、または小さくなる
- お腹を痛がる
- うずくまって動かない
初期の症状は、なんだかいつもより元気がない、食欲がないかもといった軽いものです。
しかし放置すると急激に悪化し、命を落としてしまうこともあります。
特にウサギの食欲が落ちている時は、他に症状がなくてもすぐに動物病院を受診する必要があります。
些細な変化も見逃さないように普段からウサギをよく観察するようにしましょう。
消化管うっ滞の治療法は?
消化管うっ滞の治療では、消化管の動きを回復させることが何より重要です。
胃腸を動かす薬を使った内科治療が基本です。
場合によっては強制的に食事を与えたり、体内の水分バランスを整えるために点滴を実施したりすることもあります。
毛が消化管に蓄積して物理的にうっ滞を起こしている場合は、外科的な処置が必要です。
手術で胃や腸を開けて、毛などの異物を取り除く治療を行います。
消化管うっ滞の原因には歯の問題や、他の病気が隠れている場合もあります。
消化管うっ滞の原因となる病気がある場合は、根本の病気の治療も必要です。
原因の改善が見られないと消化管うっ滞を繰り返すこともあるので注意が必要ですね。
消化管うっ滞の予防はできる?
消化管うっ滞を防ぐためには、日頃からの健康管理が欠かせません。
中でも
- 食事の管理
- ストレス管理
- グルーミング
は自宅で簡単にできる予防方法です。
もちろんそれぞれのウサギに応じて必要なケアも変わってくるので、獣医師に相談しましょう。
食事の管理
繊維質が豊富な牧草をたくさん与えることで、腸の動きを良好に保つことができます。
メインの食事はペレットではなく、チモシーなどの牧草をあげるようにしましょう。
おやつや野菜などもあげすぎると、消化管うっ滞だけではなく他の病気にもつながるので注意が必要です。
ストレス管理
急激な環境の変化やストレスを避け、ウサギが安心して過ごせる環境を整えることも予防のポイントです。
ウサギが落ち着かない様子が見られる場合は何か変化がなかったか気にしてみましょう。
グルーミング
こまめなブラッシングで抜け毛をケアしてあげることで、毛の飲み込みを減らすことも大事な予防方法です。
特に毛の長い種類のウサギは念入りに手入れをしてあげましょう。
まとめ
ウサギの消化管うっ滞は、消化管の動きが低下することで起こる命に関わる病気です。
初期の症状を見逃さずに早期治療を行うことが重要です。
元気がない気がする、食欲が落ちたかもしれないなどの異変に気づいたら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
ウサギの消化管うっ滞は、ご自宅での生活環境の改善などである程度予防することも可能です。
ウサギの小さな変化に気づけるように、普段からよく観察することも大切ですね。
当院ではウサギの消化器疾患を始めとしたウサギの診療に対応しています。
ウサギの気になる症状だけではなく、生活環境や食事のことについて不安なことがあればお気軽にご相談ください。