ハムスターの細菌性腸炎について|お尻が濡れているのは危険信号

ハムスターは小柄で場所を取らないため人気のペットです。
犬や猫を飼ったことはないけれどハムスターは飼ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
ハムスターも犬猫と同様に様々な病気にかかります。
ハムスターがかかる病気の中でも細菌性腸炎という死亡率が高い病気があります。
ハムスターを飼っているご家族の中には
「細菌性腸炎ってどんな病気?」
「人の細菌性腸炎とは違うの?」
「治療できるの?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は、ハムスターで特に注意が必要な細菌性腸炎について詳しく解説します。
ぜひ最後まで読んで、大切なハムスターの健康管理に役立ててください。
ハムスターの細菌性腸炎とは?
ハムスターの細菌性腸炎はサルモネラやカンピロバクターといった細菌が腸内で増殖し、腸炎を引き起こす病気です。
下痢が特徴的で、お尻周りが濡れて汚れることからウェットテイルとも呼ばれます。
体が弱っていると免疫が下がり、細菌が活発になりやすいことから
- ストレス(環境の変化、過密飼育など)
- ケージ内の不衛生
などが原因になると言われています。
細菌性腸炎はハムスターだけではなく犬や猫、人間にもかかります。
しかし、ハムスターは他の動物と違って細菌性腸炎での死亡率が非常に高いのが特徴の一つです。
人間にもうつるの?
上で説明した通り、細菌性腸炎にかかるのはハムスターだけではありません。
では、ハムスターの細菌性腸炎が人間にうつることはあるのでしょうか。
実は直接ハムスターから人間へと細菌性腸炎がうつる可能性はそこまで高くありません。
しかし、人間側も免疫が下がっていると細菌が活発になり、病気がうつってしまいます。
例えば免疫の低い乳幼児が、病気のハムスターの便を触り、その手で食べ物を食べるとうつることがあるということですね。
ハムスターは小さなお子さんが世話をしていることも多い動物です。
お子さんがハムスターを触った後は必ず手を洗うようにしましょう。
ハムスターの細菌性腸炎の症状は?
細菌性腸炎にかかったハムスターは
- 水様性の下痢
- 脱水
- 食欲低下
- 体重減少
などの症状が出ることがあります。
特にハムスターに下痢の症状がある場合は、様子を見ずに動物病院で診察を受けましょう。
ハムスターは体が小さく、症状が進むスピードが早いため、1日様子を見ていると命に関わることもあります。
細菌性腸炎の治療はどうやるの?
細菌性腸炎の治療は主に内科治療です。
抗生剤の投与や点滴などが主な治療方法ですね。
そのほかにも餌を食べていない場合は強制給餌を行ったり、体温が下がっている場合には保温を行ったりもします。
主な治療についてそれぞれ解説していきます。
抗生剤の投与
抗生剤を使用して原因となっている腸内の細菌を減らす治療を行います。
ハムスターは使用できる抗生剤が限られているため、細菌の種類によっては抗生剤が効かないこともあります。
治療を行っても死亡率が高い理由の一つです。
点滴
細菌性腸炎のハムスターは弱っていることがあるため、自分で水分補給を出来ないこともあります。
さらに下痢で水分を失い脱水を起こしていることがあるため、水分補給のために点滴を行います。
水分補給が必要だからと言って、ハムスターにご家庭で無理やり水分を飲ませることは難しいため、必ず動物病院で点滴してもらいましょう。
細菌性腸炎は予防できる?
細菌性腸炎を予防するためには、日常のケアが重要です。
日常のケアの中でも
- ケージ内を清潔にする
- ストレスを軽減する
- 栄養のバランスが取れた適度な食事をとる
などを行うことで細菌性腸炎をある程度予防することができます。
特にストレスで免疫が下がると細菌性腸炎以外の病気にもかかりやすくなるため、ストレスの軽減は大切です。
ハムスターはストレスにあまり強い動物ではありません。
飼育環境が変わったり、同居動物が増えたりするだけでも病気になってしまうことがあります。
また、細菌性腸炎はうつる病気です。
ペットショップから買ってきた時には他のハムスターから病気をもらっていることもあります。
新しくハムスターを飼い始めたときには、体調の変化がないかよく観察しましょう。
まとめ
細菌性腸炎(ウェットテイル)は、ハムスターにとって非常に危険な病気です。
体が小さなハムスターでは、症状が進行するスピードが速いため、症状があれば様子を見ずにすぐ動物病院へ連れていくことが大切ですね。
細菌性腸炎は適切な治療を行っても、死亡してしまう可能性がある怖い病気です。
予防のためにも、日ごろからストレスの軽減やケージの清掃などを行うようにしましょう。
当院ではハムスターの診察を行っています。
下痢や食欲の低下などの症状がある場合だけではなく、飼育についても疑問などがありましたらお気軽にご相談ください。