ウサギの不正咬合について|その食欲不振、歯が原因かも?
ウサギは鳴き声も少なく省スペースで飼えるため、近年飼育している方が増えているペットの一つです。
人気のペットであるウサギがかかりやすい病気に不正咬合があります。
ウサギを飼っているご家族の中には
「ウサギに多い不正咬合ってどんな病気?」
「どうやって気づけばいいの?」
「治療法や予防法はあるの?」
といった疑問や不安をお持ちの方も多いかもしれません。
今回はウサギがかかりやすい病気の一つである不正咬合について解説します。
不正咬合について正しい知識を身につけ、いざという時に慌てずに済むようにしましょう。
ウサギの不正咬合とは?
ウサギの不正咬合とは、ウサギの歯が異常に伸びることで咬み合わせが悪くなる病気です。
ウサギの歯は犬や猫とは違って一生伸び続ける構造をしています。
そのためウサギはチモシーなどの牧草をよく噛むことで歯をすり減らして、適切な長さを保っているのです。
しかし、食事内容や遺伝的要因によって歯が十分に削れない場合、歯が過剰に伸びてしまいます。
歯が過剰に伸びると自然な咬み合わせにならなくなり不正咬合につながります。
不正咬合ってなんでなるの?
では、どうして不正咬合になってしまうのでしょうか?
不正咬合の原因にはいくつかの要因があります。
まず挙げられるのは食事の問題です。
チモシーなどの牧草ではなくペレット中心の食事を与えている場合、歯が十分に削れず不正咬合を引き起こしてしまいます。
他にも野菜や人間のご飯など、あまり歯を使わずに食べられる柔らかいものばかり食べていることも不正咬合の原因です。
ウサギの不正咬合は遺伝的な要因も関係しています。
例えばネザーランドドワーフやホーランドロップは骨格的に不正咬合になりやすい種類です。
さらに、ケージや硬いおもちゃなどをかじったり、落下事故などで歯に衝撃が加わったりすると、負荷がかかって不正咬合になることもあります。
不正咬合になるとどんな症状が出るの?
不正咬合になると
- 食欲が減る、または全く食べない
- よだれが増える
- 体重が減少する
- 歯や顎が腫れる
- 元気がなくなる、動きが鈍くなる
などの症状がみられることがあります。
ウサギなどの草食動物にとって食事がとれずに、空腹時間が長くなることは命に関わる症状です。
歯や口の周りに何も症状が見られなくても、食欲が落ちている場合は早急に動物病院を受診しましょう。
まれにほとんど症状が見られないのに不正咬合が起こっていることもあります。
不正咬合を放置して進行すると口の中や眼球を傷つけてしまい治療にも時間がかかります。
定期的に健康診断を受けて口の中をチェックすることも大切です。
不正咬合はどうやって治療するの?
不正咬合の治療の基本は、伸びすぎた歯をトリミングして適切な長さに整えることです。
全身麻酔を用いて丁寧に歯の形を整える必要があります。
不正咬合は一度発症すると再発するリスクが高いため、治療後も定期的に動物病院で歯の状態を確認してもらうことが大切です。
不正咬合の治療に麻酔は必要?
ほとんどの不正咬合の治療では、全身麻酔が必要です。
不正咬合の治療は奥の方までしっかり口の中をのぞいてドリルなどで歯を整える処置をします。
ウサギが起きている状態だと怪我やストレスの原因になるため、全身麻酔で眠らせることで安全に処置ができますね。
ウサギの年齢や状態によっては麻酔をせずに処置をすることもありますが、麻酔をかけない場合はなるべく短時間で終わらせる必要があります。
全身麻酔と聞くと少し怖いと思われるご家族の方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかりと治療をするためには必要な処置です。
もし治療や麻酔のことでご不安なことがあれば、獣医師にご相談ください。
不正咬合って予防できるの?
不正咬合を予防するためには、日頃の食事管理が非常に重要です。
ウサギの主食をペレットではなく、チモシーなどの牧草を中心にすることで、歯が自然に削れて適切な長さを保つことができます。
牧草はウサギの健康を支えるだけでなく、歯の異常を防ぐためにも欠かせません。
また定期的に健康診断を受けることで、不正咬合の早期発見につなげることが可能です。
特に遺伝的に不正咬合になりやすい種類のウサギを飼っている方は、健康診断での歯のチェックを念入りに行ってもらいましょう。
まとめ
ウサギがかかりやすい病気の一つに不正咬合があります。
不正咬合は、歯が正常に削れず咬み合わせが悪くなる病気です。
不正咬合になると食欲が落ちることもあります。
ウサギの食欲が落ちることは、最悪の場合命に関わることもある怖い状態です。
少し食欲が落ちている気がするなという場合は、様子を見ずに動物病院を受診することが大切ですね。
当院ではウサギの口腔ケアや不正咬合の治療をはじめとしたウサギの診察が可能です。
ウサギの気になる症状だけではなく、健康診断などもお気軽にご相談ください。