歯科疾患の症状
歯科診療は歯や口腔内の疾患について診察する診療科です。
歯や口腔内の疾患の場合は歯肉が赤い、歯が痛いなどの症状がイメージしやすいと思います。
しかし、犬の場合は歯の病気ではくしゃみ、顔が腫れる、あごを触るのを嫌がるという歯とは直接関連がなさそうな症状が出ることがあります。
当院では症状から原因を追求し、正確な治療を行っています。
歯肉が赤い
歯肉が赤い場合は接触性口内炎が疑われることがあります。
接触性口内炎は歯垢や歯石などの細菌やウィルスが含まれるものが口腔内の粘膜に触れることで起こる口内炎のことです。
接触性口内炎を改善するには原因となっている歯垢や歯石の除去が必要です。
くしゃみが出る
犬の歯根、特に上顎の犬歯の歯根は非常に深く、鼻腔と1〜2mmの距離しかありません。
そのため、歯周病により歯根に炎症が起こると、歯根が鼻腔に到達してしまうことがあります。
この状態を口腔鼻腔瘻管と呼びます。
当院では口腔鼻腔瘻管の原因となっている歯の抜歯と、瘻管の閉鎖を行っています。
歯を鳴らす
歯周病が重度になると自然と歯がグラグラしてきます。
歯を鳴らす症状がある場合は歯がグラグラしてきているのかもしれません。
グラついた歯は食事の時にも動いてしまい、痛みに繋がります。
このような歯は、温存しても痛みが生じてしまうだけの歯になってしまうため、抜歯の適応となります。
顔が腫れている
犬では、犬歯と同様に、奥歯である臼歯の歯根も非常に深いです。
歯周病により臼歯の歯根に炎症が起こると、頬まで炎症が波及し、顔が腫れることがあります。
腫れが重度になると、頬の皮膚の下に膿がたまり、中には頬の皮膚を突き破って膿が排出されることがあります。
顎を触るのを嫌がる
くしゃみが出たり、顔が腫れるという症状は上顎の歯根が原因ですが、下顎の歯根に炎症が起こると顎に痛みを生じます。
痛みにより顎を触られるのを嫌がるようになってしまうこともあります。
治療法
当院では歯をきれいにするために、歯科用の専用機器を使い、以下の処置を行っています。
- スケーリング
超音波スケーラーを使って歯垢や歯石の除去を行う - ルートプレーニング
歯周ポケットの歯についている汚れをきれいにする - キュレッタージ
歯周ポケットの歯肉の不良組織を除去する - ポリッシング
歯の表面を磨き、歯石をつきにくくする
犬で歯の病気による症状が顕著になった時には、抜歯を必要とすることが多いです。
当院では歯科用の専用機器を使った抜歯も行っております。
お薬による治療
歯科処置は全身麻酔をかけて行われます。
当院では、全身麻酔がためらわれる場合は、お薬による治療も行っています。
- 抗菌薬
感染が疑われるときに使用 - 消炎剤
口の痛みが強いときに使用
歯科疾患のお薬は投薬時に口の痛みを生じることが多いです。
砕いて粉にしたり、水とともに飲ませたり、投薬用のおやつを使うなど、痛みを生じにくくするような工夫をしましょう。
どうしても口の痛みにより投薬が困難な場合は注射で投薬する方法もあります。
お困りの際はいつでもご相談ください。
お家でできる対策
歯の病気は予防が非常に大事です。
人間と同様に歯磨きをすることで歯の病気を予防しましょう。
「愛犬が歯磨きをさせてくれない」
そんなふうにお悩みの方もいらっしゃいますよね。
当院では歯磨きの指導も行っていますので、お困りの方はご相談ください。