軟部外科

診察台の上のラブラドール

動物の病気は薬だけでは治療ができないこともあります。
特に体の骨や神経や歯以外の部分に対して行う軟部外科は、犬と猫の外科の中で最も実施頻度の高い手術です。
軟部外科で行う手術の多くは、なるべく早期に治療を行わないと健康状態を損ねる可能性がある病気に対する手術です。
いざ軟部外科を行う必要が出たらすぐに治療に踏み切るために、前もって手術のことを知っておくことが必要ですね。
当院では豊富な実績と経験に基づいた高度な軟部外科を提供しています。

子宮蓄膿症への子宮卵巣摘出術

避妊をしていない犬や猫で最も多い病気が子宮蓄膿症です。
子宮蓄膿症は細菌感染によって子宮に膿がたまり、最終的には全身の感染症になり命を落としてしまうような病気です。
緊急性が高く、来院してからなるべくすぐに手術を行う必要がありますね。
子宮蓄膿症の手術では細菌感染が起こっている子宮と卵巣を摘出する子宮卵巣的手術を行う必要があります。
当院では緊急の症例に対しても、早急に安全に子宮卵巣摘出術を行う体制を整えております。

脾臓摘出術

高齢の犬で多く見られるのが脾臓腫瘍です。
ある報告では、脾臓腫瘍はその33%が悪性の腫瘍だと言われています。
しかも良性の腫瘍だとしてもその腫瘍のサイズや血流次第では、腹腔内で破裂する可能性もあると言われています。
そのため脾臓腫瘍が見つかった場合には、手術が推奨される場合が非常に多いです。
また脾臓腫瘍が何かの拍子に破裂し、大量出血により緊急の状態になってしまう犬もいます。
その場合、当院では必要に応じて輸血を行い、早急に脾臓摘出術を行う体制を整えております。

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犬の脾臓摘出術|手術が必要なケースについて獣医師が解説

胃切開術

ハーネスをつけているビーグル

犬や猫が日常的に陥るトラブルに異物の誤食があります。
「おもちゃで遊んでいるうちにそれを飲み込んでしまった」
そんなことがあったら心配ですよね。
犬や猫が誤食するものは、全てが内視鏡で取り出せるというわけではありません。
中には内視鏡で取り出すには大きすぎるもの、危険なものも存在します。
そんな場合には当院では胃切開術を実施しています。
異物が胃のなかに留まっている時間は4〜6時間と言われています。
時間経過により胃を通過してしまった異物は腸切開術を行う場合もあります。

腸切開術

犬や猫が異物を誤食すると、まず異物は食道を通り、胃の中に入り、その後胃を通過すると小腸に入ります。
小腸は胃と比べるとスペースが狭いため、異物が詰まってしまうことがあります。
この異物が小腸に詰まってしまうことを腸閉塞と呼びます。
腸閉塞を起こすと腸の血流が遮断されるため、数時間で腸の壊死が始まります。
その前に異物を早急に取り除く必要がありますね。
当院では腸閉塞に対してなるべく早く腸切開術を行い、異物を取り出すことを推奨しています。

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犬の腸管切開術|誤食して腸がつまったらどうする?

腸管吻合術

腸閉塞を起こすと数時間で腸の壊死が始まります。
腸が壊死すると、異物を取り出しても腸が回復せず、壊死組織が広がり命を落としてしまうことがあります。
そのため腸が壊死している場合は、異物だけではなくその壊死した腸も切除し、摘出する必要があります。
その場合に実施されるのが腸管吻合術ですね。
当院では腸管吻合術は腸に発生している腫瘍を腸ごと摘出する場合にも用います。

膀胱切開術

上を見上げる猫

犬と猫の尿中には結石ができることがあります。
その中でも最も結石ができやすいのが膀胱です。
食事療法や投薬によって溶解できる結石もありますが、溶解できない結石も存在します。
膀胱に結石が留まり続けると、血尿や頻尿を発症し、場合によっては尿道が閉塞することもあります。
溶解できない結石や、溶解まで時間がかかる結石の場合、当院では膀胱切開術により膀胱結石を摘出することをおすすめしています。
また、膀胱切開術により膀胱結石を摘出後、再発しないようにするための指導も行っています。

犬の膀胱切開術についてもっと詳しく知りたい方はこちら
犬の膀胱切開術|犬の膀胱に石ができる?獣医師が解説

会陰尿道ろう造ろう術

雄猫では特に結石などの物質が尿道に詰まることが多いです。
一般的には尿道閉塞が起こると内科的な治療から始めることが多いですが、中には内科治療が奏功せず、再発を繰り返してしまう猫もいます。
その場合当院では会陰尿道ろう造ろう術を実施しています。
尿道閉塞は緊急疾患で、すぐに命に関わってしまうこともあります。
当院では尿道閉塞に対しても最善な治療方法を提案しています。

胆嚢摘出術

胆嚢とは肝臓で作られる脂肪の消化を助ける胆汁を貯める臓器です。
胆嚢は加齢とともに病気が増えやすくなる臓器の一つでもあります。

犬の胆嚢の病気には、胆泥症や胆嚢粘液嚢腫などがあります。
胆泥症や胆嚢粘液嚢腫は、胆嚢の中に泥状やゼリー状の物質がたまる病気です。
胆嚢の病気にかかると、

  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 元気消失
  • 黄疸

などが見られることがあります。
胆泥症や胆嚢粘液嚢腫が進行すると胆嚢が閉塞することや、破裂して腹膜炎を起こすことがあります。
放置すると命に関わることもある怖い病気です。

胆嚢の病気の治療には、主に胆嚢摘出術という手術による治療が行われます。
胆嚢摘出術は、胆嚢そのものを取り除くことで体内への胆汁の漏出を防ぐことが可能です。
胆嚢が破裂する前に摘出する必要があるため、手術を行う場合は早めに決断することが重要です。
手術後は膵炎や血液の異常などの合併症が起こることもあるため、注意深く見ていく必要があります。

当院では画像診断をもとに、早期に胆嚢摘出術を実施できる体制を整えております。

エリザベスカラーをしているシーズー

会陰ヘルニア整復術

会陰ヘルニアとは、肛門の周囲にある筋肉が緩んでしまい、その隙間から腸や膀胱などの臓器が飛び出してしまう病気です。
特に未去勢の中高齢の雄犬で多く見られます。
発症の原因ははっきりとは分かっていませんが、加齢やホルモンの影響などが関係していると考えられています。

会陰ヘルニアになると

  • 排便しづらくなる
  • 排便時に強くいきむ
  • 膀胱が飛び出した場合には排尿困難が起こる

など、日常生活にさまざまな支障が出る厄介な病気です。

会陰ヘルニアは時間の経過とともに症状が悪化しやすくなります。
腸が締め付けられて壊死したり、排尿ができなくなって腎臓に負担がかかるといった命に関わるケースもあります。

会陰ヘルニアの治療は、基本的に外科手術が必要です。
弱くなった筋肉の隙間を縫い縮めたり、周囲の筋肉を移動させて再発を防止したりする会陰ヘルニア整復術という手術が行われます。
症状によっては同時に去勢手術を実施することもあります。

当院では、症例ごとに最適な整復法を選択し、安全に会陰ヘルニア整復術を行える体制を整えております。

尿管切開術

尿管とは、腎臓と膀胱をつないで尿を運ぶ細い管状の臓器です。
猫や犬では、この尿管に結石が詰まることで尿の流れが止まってしまう病気が発生することがあります。
特に猫ではシュウ酸カルシウム結石という結石による尿管閉塞が多く見られます。

尿管が詰まると腎臓に尿が溜まり、腎臓が腫れてしまう水腎症や、腎機能の低下が起こるため注意が必要です。
症状としては、食欲不振・嘔吐・元気消失などが見られ、重症化すると命に関わることもあるため早期の治療が重要です。

尿管閉塞の治療では、詰まった結石を取り除く尿管切開術などの外科的治療が選択されます。
尿管切開術は尿管を切開して直接結石を取り除く手術です。
必要に応じて尿の流れを確保するステントやチューブを設置します。
尿管切開術が検討されるのは、内科治療では結石が溶けない場合や、結石が完全に尿管を塞いでいるときなどです。
尿管は細く、血管も豊富なため、手術には高度な技術が必要になります。

当院では、画像診断で状態を把握したうえで、尿管の太さ・詰まりの程度・腎機能などを総合的に判断し、最適な手術方法を選択しています。
尿の出が悪い、食欲がない、という症状がある場合は、早めにご相談ください。

症状別事例

飼い主さまだけが気づいてあげられるペットの変化があります。 どこかいつもと違ったら、ご相談ください。犬、猫はもちろん、ハムスター、モルモット、フェレット、ハリネズミ、ウサギ、鳥、カメなど、当院では、幅広いエキゾチックアニマルの診療を行っています