犬のターミナルケア|愛犬の痛みを少しでも和らげる方法を獣医師が解説

犬のターミナルケア|愛犬の痛みを少しでも和らげる方法を獣医師が解説
犬のターミナルケアとは、愛犬に最期の時間を少しでも快適に過ごしてもらえるようにケアをすることです。
ターミナル期の犬は様々な痛みを抱えており、その痛みを和らげる方法もたくさんあります。
「辛そうな愛犬を見ているといてもたってもいられない。」
「できることがあるなら何でもしてあげたい。」
「犬のターミナルケアの方法を知りたい。」
このような想いを抱えている飼い主様も多いのではないでしょうか。
今回は犬のターミナルケア、特に痛みの管理について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、大切な愛犬の痛みを少しでも和らげてあげるためにお役立ていただければ幸いです。
犬のターミナル期の痛みの種類
ターミナル期と一口にいっても犬によって病気の種類は様々あり、辛さや痛みの原因も様々です。
ターミナル期の痛みには
- 関節の痛み
- 骨の痛み
- 筋肉の痛み
- 血行不良による痛み
- 褥瘡による痛み
などが挙げられます。
それぞれどんな痛みなのか解説します。
関節の痛み
犬が高齢になると人間と同じように関節の痛みを感じることが増えます。
年齢と共に骨が変形したり、関節面に炎症がおきたりすることが痛みの原因です。
犬が若い頃のように走り回ったりすることがだんだん少なくなって寝ていることが増えるのも関節の痛みが原因かもしれません。
骨の痛み
腫瘍が骨に転移すると強い痛みを感じるようになります。
この骨の痛みは痛みの中でもかなり強いです。
強い痛みに泣き叫んでしまう犬もいます。
筋肉の痛み
犬が寝たきりになると筋肉を動かすことも少なくなります。
ずっと同じ体勢でいることで筋肉がこわばって痛みを生じます。
血行不良による痛み
犬が寝たきりになると全身の血行不良にもなります。
血行不良になるとおこるのが
- 筋肉に疲労物質の蓄積
- 各組織の酸素不足
- 各組織の栄養不足
などの現象です。
その結果
- 腰痛
- 関節痛
- 手足のしびれや痛み
などが引き起こされます。
褥瘡による痛み
犬が寝たきりの状態になったときに気をつけなければならないのが褥瘡です。
いわゆる「床ずれ」のことです。
体の同じ面がずっと床に触れているとその部分の血行が悪くなり、皮膚や筋肉がダメージを受けてぐちゅぐちゅと湿った傷のようになってしまいます。
褥瘡は初期の段階に痛みが強く、進行すると神経も壊死するため痛みを感じにくくなるといわれています。
しかし感染を伴うと強い痛みや不快な臭いを生じることがありますね。
犬のターミナルケアの痛みの管理

犬のターミナルケアの痛みの管理には動物病院でできることと、ご自宅でできることがあります。
それぞれについて解説します。
動物病院での痛みの管理
動物病院でできる痛みの管理は主に薬を使ったものです。
動物病院では痛みに効く薬で痛みを和らげることができます。
関節痛に有効な薬や腫瘍による痛みに有効な薬など、痛みの種類によって使われる薬は様々です。
痛み止めには飲み薬や注射薬などがあります。
骨に転移する悪性腫瘍のターミナル期の痛みは、通常の鎮痛薬ではコントロールが難しいことが多いです。
この場合は最終手段としてフェンタニルという麻薬が有効成分のシールタイプの痛み止めを使うことがあります。
犬の首のあたりを毛刈りして皮膚に直接貼り付けて使用します。
このように動物病院での痛みの管理には様々な選択肢があるため、犬の状態に合わせて最適なものを選んであげることができますね。
自宅での痛みの管理
犬のターミナル期の痛みの管理は自宅でできることもたくさんあります。
具体的には
- 寝る環境の工夫をする
- マッサージをする
- 温める
- さする
などです。
それぞれについて詳しく解説します。
寝る環境を工夫する
犬が骨や関節に痛みを抱えている場合は寝床が硬いと負担がかかって痛みを感じやすいです。
適度な柔らかさの寝床を用意してあげましょう。
体勢によって痛みの感じ方が変わる犬もいます。
クッションやタオルなどを使って犬が快適な体勢を維持できるようにしてあげるといいです。
ずっと同じ体勢で寝続けると床ずれをおこすことがあるため、こまめに体勢を変えてあげると理想的です。
マッサージをする
筋肉は動かさない状態が続くと血流が滞り、こわばって痛みが発生します。
優しくマッサージしてあげることで筋肉のこわばりをほぐし、血流が良くなって痛みが和らぎます。
温める
犬の体を温めてあげることはマッサージと同じく、血流をよくする効果があります。
犬の体を温める時は
- 湯たんぽ
- 蒸しタオル
- 毛布
などを使うと良いでしょう。
電気毛布やヒーターは火傷の恐れがあるため、使用には注意が必要です。
さする
犬の痛みを和らげるのに痛い部分をさすることは効果的です。
皆さんは足をぶつけて痛い時にその部分をさすることはありませんか?
痛いところをさすると痛みが和らぐ気がしますよね。
この感覚は気のせいではありません。
痛覚と触覚を脳に伝える神経は別々に存在していて、痛覚よりも触覚が優先で脳に伝わるようになっています。
さすることで痛みの感覚を上書きして痛みを誤魔化せるということです。
人と同じように、犬が痛みを抱えている部分をさすってあげると痛みを和らげることができます。
まとめ

痛みを抱える犬を看病するのは精神的にも肉体的にも大変なことですよね。
今回解説した痛みの管理方法は全てをやらないといけないということではありません。
犬の状態によって最適な痛みの管理方法は異なります。
獣医師とよく相談した上で、犬も飼い主様も無理のない範囲での持続可能な痛みの管理を目指しましょう。
当院ではターミナルケアが必要な犬の症例も数多く経験がございます。
どんな些細なことでも構いません。
犬のターミナルケアにお困りの際はぜひ当院にご相談ください。