猫の尿道閉塞とは?|トイレに行くのに尿が出ない場合に疑う尿道閉塞について解説

「トイレに何度も行くのに、尿が出ていない」
「トイレでずっとしゃがんでいて、苦しそうに鳴いている」
「昨日から元気がなく、ぐったりしている」
愛猫にこのような様子が見られる場合、「尿道閉塞」が起きている可能性があります。
尿道閉塞は、尿の出口が詰まってしまい、尿を体の外に出せなくなる病気です。
発症から24時間以内に治療が始められない場合、命に関わることがある緊急性の高い病気です。
今回は猫の尿道閉塞について、
- どんな病気か
- なりやすい猫の特徴
- 症状のサイン
- 原因
- 治療方法
- 予防・再発防止のためのケア
などについて、できるだけわかりやすくお伝えします。
いざというときに迷わず行動できるよう、ぜひ最後までお読みください。
猫の尿道閉塞とは?
尿道閉塞とは、膀胱から体の外へ尿を排泄する「尿道」が詰まってしまい、まったく尿が出せなくなる病気です。
尿が出せない状態が続くと膀胱がどんどん膨らみ、腎臓にも圧力がかかります。
さらに、本来尿として排出されるはずだったカリウムなどの電解質が血液中に蓄積され、心臓の機能に影響を与えることもあります。
治療が遅れると腎不全や心停止につながるリスクがあるため、尿道閉塞はとくに緊急性の高い病気のひとつです。
尿道閉塞になりやすい猫の特徴
尿道閉塞は、以下のような猫で起こりやすいとされています。
- オス猫
- 肥満気味の猫
- 室内飼いで運動量が少ない猫
- ドライフードのみを食べている猫
- 水を飲む量が少ない猫
とくにオス猫は、メス猫と比べて尿道が細く長い構造のため、尿道閉塞が起こりやすい傾向があります。
また、水分摂取量が少ないと尿が濃くなり、結晶や結石が形成されやすくなるため注意が必要です。
猫の尿道閉塞のサイン
猫に尿道閉塞が起きているとき、次のようなサインが見られます。
- トイレに何度も行くが尿が出ない
- トイレでいきんでいる
- 陰部をしきりに舐める
- お腹を触ると嫌がる
- ぐったりしている
- 食欲がない
- 嘔吐している
「トイレに行く回数が増えた」という変化は、尿道閉塞の初期サインであることがあります。
最初は少量の尿が出ていても、時間が経つにつれてまったく出なくなる場合もあります。
「ぐったりしている」「嘔吐している」といった状態は、すでに全身状態が悪化しているサインです。
少しでも尿道閉塞を疑う変化があれば、様子を見ずにすぐに動物病院を受診しましょう。
猫の尿道閉塞の原因
猫の尿道閉塞の主な原因は次のとおりです。
- ストルバイトやシュウ酸カルシウムなどの結石
- 尿道に形成された尿道栓子
- 尿道の炎症
- 腫瘍
猫の尿道閉塞では、結石や尿道栓子が原因となるケースが多く見られます。
尿道栓子は、尿の中の結晶や粘液などが固まって尿道に詰まるもので、慢性的なストレスや水分不足、食事内容などが影響すると考えられています。
また、猫は「猫下部尿路疾患」と呼ばれる尿路全体に関わる病気にかかりやすく、尿道閉塞はその重篤な状態のひとつです。

猫の尿道閉塞の治療
猫の尿道閉塞の治療は尿道の閉塞解除と全身状態の管理に大きく分かれます。
また、尿道の閉塞の解除が困難な場合には外科手術が必要です。
それぞれについて解説します。
尿道の閉塞解除
尿道の閉塞解除として、細いカテーテルを尿道に挿入し、詰まりをほぐして尿を排出する処置が行われます。
処置中は猫に強い痛みが伴うため、鎮静や麻酔をかけながら慎重に行われます。
閉塞が解除された後は、膀胱の洗浄やカテーテルの一定期間留置を行い、再閉塞を予防することが必要です。
全身状態の管理
閉塞によって電解質の異常や腎臓の機能低下が起きていることが多いため、点滴による治療が同時に行われます。
心臓への影響が出ている場合は、それに応じた治療も必要になります。
入院期間は猫の状態によって異なりますが、数日間の管理が必要となることが多いです。
外科手術(会陰尿道造瘻術)
繰り返し尿道閉塞を起こす場合や、カテーテルによる閉塞解除が難しい場合は、手術が検討されることがあります。
「会陰尿道造瘻術」と呼ばれる手術で、尿道の細い部分を切除して尿の出口を広げる方法です。
手術により尿道の再閉塞を防ぐ効果が期待できますが、術後も尿路の管理が必要になります。
尿道閉塞の予防・再発防止のためのケア
猫の尿道閉塞は再発しやすい病気のため、退院後も継続的なケアが大切です。
自宅でできる尿道閉塞の予防には以下のようなものがあります。
- 水をしっかり飲ませる
- ウェットフードや療法食への切り替えを検討する
- トイレの数を増やし、清潔に保つ
- ストレスの少ない環境を整える
- 適度な運動と体重管理を行う
- 定期的に尿検査を受ける
水分摂取量を増やすことは、尿を薄めて結晶が形成されにくくするうえで最も効果的なケアのひとつです。
水飲み場を増やしたり、水をこまめに替えることで水を飲む量が増える猫もいます。
また、食事内容は尿石の種類によって適切な療法食が異なるため、獣医師の指示のもとで選ぶようにしましょう。

まとめ
猫の尿道閉塞は、発見が遅れると命に関わる緊急性の高い病気です。
「トイレに行くのに尿が出ない」「苦しそうにいきんでいる」といった様子が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
当院では、尿道閉塞をはじめとする泌尿器疾患の診療に対応しています。
退院後の食事管理や再発予防についてもサポートしておりますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。