犬の胸腰部椎間板ヘルニアとは?|症状・治療・手術の必要性を解説

犬の胸腰部椎間板ヘルニアとは?|症状・治療・手術の必要性を解説
「最近、愛犬が歩きづらそうにしている…」
「抱っこすると痛がるのはなぜ?」
「このまま放置しても大丈夫?」
といった疑問をお持ちの飼い主さんはいませんか?
もしかしたらそれは、犬の椎間板ヘルニアかもしれません。
今回は椎間板ヘルニアでも、特に胸腰部に発生する胸腰部椎間板ヘルニアについて、症状や手術の必要性などを含めて詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の胸腰部椎間板ヘルニアについて理解を深めましょう。
犬の胸腰部椎間板ヘルニアとは?
犬の椎間板ヘルニアは、犬でよくみられる神経疾患の一つで、椎間板が変性して飛び出し脊髄を圧迫する病気です。
椎間板の変性が起こる原因として
- 遺伝的要因
- 加齢
- 過度な運動
- 肥満
などが関係しています。
椎間板ヘルニアは発生する部位によって
- 頸部(首)
- 胸腰部(背中・腰)
に分類されます。
胸腰部に発生する椎間板ヘルニアはミニチュア・ダックスフントなどの胴長短足の犬種に多くみられるヘルニアです。

犬の胸腰部椎間板ヘルニアの症状
胸腰部椎間板ヘルニアは症状によって重症度がグレード分けされています。
各症状とグレードについて表にまとめてみました。
犬の胸腰部椎間板ヘルニアの症状一覧
| 症状の段階 | 主な症状 | 具体的な行動・変化 |
| グレード1 | 軽い痛み・違和感 | 抱っこすると鳴く 背中を触ると嫌がる 階段やジャンプを避ける |
| グレード2 | 運動の鈍化と跛行・痛み | 足を引きずるように歩く フローリングで滑りやすくなる 転ぶ |
| グレード3 | 後肢の部分麻痺・歩行困難 | 立ち上がれない 歩行時によろける |
| グレード4 | 後肢の麻痺・排泄障害 | 自力で歩行できない 排尿・排便が困難になる |
| グレード5 | 完全麻痺・深部痛覚の消失 | 後肢の完全麻痺 痛みを感じない 自力で動けず寝たきり状態 |
犬の胸腰部椎間板ヘルニアはグレードが進めば進むほど、治療にも時間がかかるため早期発見が重要です。
ご家庭で気になる症状があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。
胸腰部椎間板ヘルニアの治療法
犬の胸腰部椎間板ヘルニアでは主に
- 内科療法
- 外科療法
- 安静
などの治療法を行います。
犬の胸腰部椎間板ヘルニアのグレードや全身状態によって、治療法を組み合わせていきます。
グレード別にどのような治療が必要か解説していきますね。
グレード1〜2の場合
犬の胸腰部椎間板ヘルニアの症状が比較的軽度なグレード1〜2では、内科療法と安静を中心に治療を行います。
内科療法では、鎮痛剤や消炎剤の投与で痛みや炎症を和らげていきます。
脊髄の腫れを軽減し、神経の圧迫を軽くするためにステロイドを使用することもあります。
また運動を制限し、悪化を防ぐために安静も重要です。
グレード3以上の場合
犬の胸腰部椎間板ヘルニアのグレードが3以上の症状では、内科治療や安静も行いますが、改善しない場合は外科療法が必要になります。
外科療法では全身麻酔をかけて背骨の手術を行います。
どんな外科手術を行うの?
犬の胸腰部椎間板ヘルニアの外科手術における代表的な方法が、ヘミラミネクトミーという手術です。
ヘミラミネクトミーとは、圧迫されている脊髄を解放するために、背骨の一部(椎弓)を削って除去する手術です。
ヘミラミネクトミー手術には
- 脊髄への圧迫を取り除くことで、神経の回復を促す
- 重度の麻痺でも、手術によって改善する可能性がある
- 進行性の症状を止めることができる
といったメリットが存在します。
ヘミラミネクトミーは、早期に手術を行うほど予後が良いとされています。
特に、発症から短期間、具体的にはグレード5になる前に手術を受けることで、神経の回復がスムーズになるため、できるだけ早い判断が重要です。

まとめ
犬の胸腰部椎間板ヘルニアは、放置すると後肢麻痺や排泄障害などの深刻な問題を引き起こす病気です。
しかし、早期に適切な治療を受ければ、多くの場合改善が可能です。
軽度の場合は、鎮痛剤や安静による内科治療が有効ですが、症状が進行した場合は、ヘミラミネクトミーによる外科手術が必要になります。
当院では、胸腰部椎間板ヘルニアの外科手術にも対応可能です。
愛犬の歩き方に違和感を感じたら、できるだけ早くご相談ください。