猫の肥大型心筋症とは?|猫の心臓病に多い肥大型心筋症について解説

こちらを見ている茶白スコティッシュフォールド

「健康診断で心臓に異常があるといわれた」
「肥大型心筋症と診断されたけど、どんな病気かよくわからない」
「投薬を始めたけれど、日常生活はどこまで気をつければいいのだろう」
猫を飼っているなかで、こんな不安を感じたことはありませんか?
猫の肥大型心筋症は、猫の心臓病のなかで最も多く見られる病気です。
とくに中高齢の猫で多く、好発猫種では若い猫でも発症することがあります。
猫の肥大型心筋症は進行するまで症状が出にくいため、知らないうちに病気が進んでいることも少なくありません。

本記事では猫の肥大型心筋症について、

  • どんな病気か
  • ステージと症状の特徴
  • 治療方法
  • 日常ケアのポイント

をわかりやすく解説します。
最後まで読んでいただき、愛猫の病気と向き合うための参考になれば幸いです。

猫の肥大型心筋症とは?

猫の肥大型心筋症は、「心筋」と呼ばれる心臓の筋肉が異常に厚くなる病気です。
心筋が厚くなることで心臓の内側の空間が狭くなり、一度に送り出せる血液の量が減少します。
その結果、全身への血液の循環が悪くなり、さまざまな症状が現れてきます。

猫の心臓病の約60〜70%が肥大型心筋症によるものとされており、とくに猫に多い心臓病です。
猫の中でも、

  • メインクーン
  • ラグドール
  • ブリティッシュショートヘア
  • スコティッシュフォールド

などの猫種は肥大型心筋症の発症リスクが高いとされています。

猫の肥大型心筋症のステージ

猫の肥大型心筋症は、進行度に応じてステージA〜Dに分類されます。
ステージによって治療方針が異なるため、現在どの段階にあるかを正しく把握することが大切です。
それぞれのステージについて解説します。

ステージA

ステージAは、心臓病はまだ発症していないものの、肥大型心筋症を発症しやすい猫種に分類される段階です。
メインクーンやラグドールなど、好発猫種がこれにあたります。

ステージB

ステージBは、心臓超音波検査で心筋の肥大が見つかっているものの、咳や呼吸困難などの自覚できる症状がまだない段階です。
ステージBはさらにB1とB2に分けられます。

  • B1:心筋の肥大は軽度で、心臓への負担が少ない状態
  • B2:心筋の肥大が進み、心臓への負担が増している状態

ステージB2は肥大型心筋症の治療が開始される段階になります。
ステージB2への移行を見極めるために、定期的な超音波検査が必要です。

ステージC

ステージCは、肺や胸腔に水がたまり、呼吸困難などの心不全の症状が現れている段階です。
ステージCの猫では以下の症状が見られることがあります。

  • 呼吸が早くなる
  • 口を開けて呼吸している
  • ぐったりして動かない

これらの症状が見られた場合は緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診しましょう。
ステージCの猫では利尿薬を中心とした複数の薬を組み合わせた治療が行われます。

ステージD

ステージDは、標準的な治療を行っても心不全症状のコントロールが難しくなった、最も重篤な段階です。
薬の種類や量を見直しながら、心不全の症状を和らげることを目標にした治療が続けられます。
また、肥大型心筋症が進行すると心臓内に「血栓」と呼ばれる血液の塊が形成されやすくなります。
血栓が血管につまることで後ろ足が突然動かなくなる「動脈血栓塞栓症」を合併することもあり注意が必要です。

爪とぎの上で寝ている白い長毛猫

猫の肥大型心筋症の検査

肥大型心筋症の診断には、主に以下の検査が行われます。

  • 聴診
  • レントゲン検査
  • 心臓超音波検査
  • 血液検査

これらの検査を組み合わせることで、現在のステージや心臓への負担の程度を総合的に判断されます。
とくに、心臓超音波検査は心筋の厚さや心臓の機能を直接確認できる最も重要な検査です。
猫の肥大型心筋症は聴診で心雑音が聞こえないケースも多いため、好発猫種を飼われている場合は症状がなくても定期的に超音波検査を受けることをおすすめします。

猫の肥大型心筋症の治療

猫の肥大型心筋症の治療は、進行度と症状に応じて行われます。
現在のところ、厚くなった心筋を元の状態に戻す根本的な治療法はなく、症状をコントロールすることが治療の目標です。

内科治療

猫の肥大型心筋症の治療は薬による内科治療が中心です。
進行度や症状に応じて、以下のような薬が使われます。

  • 心拍数を抑える薬
  • 降圧剤
  • 利尿薬
  • 抗血栓薬
  • 強心薬

内科治療の目的は、薬によって肥大型心筋症の症状をコントロールすることです。
一度始めた薬は基本的に生涯にわたって続ける必要があり、定期的な検査で薬の量や種類を調整していきます。

緊急時の対応

胸に大量の水がたまって呼吸困難になった場合は、「胸腔穿刺」と呼ばれる胸から水を抜く処置が必要になることがあります。
また、動脈血栓塞栓症を合併した場合は、後ろ足の麻痺や強い痛みが突然現れることがあり、速やかな対応が必要です。

肥大型心筋症と診断された猫の日常ケア

猫が肥大型心筋症と診断を受けた後も、日常生活を工夫することで猫のQOLを維持することができます。
自宅でできる日常生活の工夫に以下のようなものがあります。

  • 呼吸数のチェック
  • ストレスの軽減
  • 食事・体重管理
  • 定期的な通院

定期的に猫の安静時の呼吸回数を数えることはとくに重要です。
1分間の呼吸数が40回を超えるようであれば、肺や胸に水がたまっている可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
また、猫はストレスによって心拍数や呼吸数が上がりやすいため、穏やかな環境を保つことも大切です。
肥大型心筋症の症状が安定していても、定期的な心臓の検査は欠かせません。
心臓の状態は徐々に変化するため、定期的に心臓の状態を確認してもらうことが大切です。

寝そべっているキジトラ白猫

まとめ

猫の肥大型心筋症は、症状が出にくく発見が遅れやすい病気です。
しかし、早めに見つけて治療を続けることで、症状を安定させながら生活の質を保つことができます。
「呼吸が少し速い気がする」「最近じっとしていることが多くなった」と感じたときは、早めに動物病院に相談してみてください。

当院では肥大型心筋症など循環器科診療にも力を入れております。
猫の様子に気になることがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。