猫の慢性腎臓病とは?|猫の多飲多尿や体重減少の原因になる慢性腎臓病について解説

「最近、猫が水をたくさん飲むようになった」
「トイレの尿の量が増えた気がする」
「食欲はあるのに体重が減ってきた」
このような変化が猫に見られる場合、「慢性腎臓病」が関係しているかもしれません。
猫の慢性腎臓病は、中高齢の猫でとてもよく見られる病気のひとつです。
ゆっくり進行する病気のため、初期には気づきにくいことも少なくありません。
しかし、早期に発見して適切な治療や管理を行うことで病気の進行を緩やかにし、生活の質を保つことができます。
今回は猫の慢性腎臓病について、
- 原因
- サイン
- 診断
- 治療
- 自宅でできるケア
などを、できるだけわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫の体調に異変を感じた際に参考にしていただければ幸いです。

猫の慢性腎臓病とは?
猫の慢性腎臓病とは、腎臓の機能がゆっくりと低下していく病気です。
腎臓は背中側に左右一対ある臓器で、体の中でとても重要な働きをしています。
腎臓の主な役割として、
- 体の老廃物を尿として排出する
- 体内の水分バランスを調整する
- 電解質のバランスを保つ
- 血圧の調整
- 赤血球を作るホルモンの分泌
などがあります。
慢性腎臓病では腎臓の組織が少しずつダメージを受け、これらの働きが徐々に低下していきます。
猫はもともと腎臓病になりやすい動物で、特に7歳以上の中高齢の猫では発症することが珍しくありません。
猫の慢性腎臓病が進行すると体に老廃物がたまり、さまざまな症状が現れるようになります。
慢性腎臓病は一度進行すると元の状態に戻すことは難しい病気ですが、早期に管理を始めることで進行を遅らせることが可能です。
猫の慢性腎臓病のサイン
猫の慢性腎臓病はゆっくり進行するため、初期には症状がほとんど見られないこともあります。
しかし、慢性腎臓病が進行するにつれて次のような変化が見られることがあります。
- 水をたくさん飲む(多飲)
- 尿の量が増える(多尿)
- 食欲が落ちる
- 体重が減る
- 元気がなくなる
- 吐くことが増える
とくに多飲多尿は、慢性腎臓病の猫でよく見られるサインです。
腎臓の働きが低下すると尿を濃くすることができなくなり、水のような薄い尿がたくさん出るようになります。
その結果、猫の体が水分不足になりやすくなり、水を飲む量が増えます。
慢性腎臓病が進行すると体内に老廃物がたまるため、吐き気や食欲低下が起こることもあります。
このような変化は「年齢のせいかな」と思われてしまうこともありますが、慢性腎臓病のサインである可能性もあるため注意が必要です。

猫の慢性腎臓病の原因
猫の慢性腎臓病は、さまざまな原因によって腎臓の組織が長い時間をかけてダメージを受けることで発症します。
猫の慢性腎臓病の代表的な原因は次のようなものが挙げられます。
- 加齢による腎機能の低下
- 歯周病
- 先天性の腎疾患
- 高血圧
- 尿路感染症
- 薬の副作用
猫では特定の原因が明確に特定できないケースも多く、複数の要因が重なって腎臓の機能が徐々に低下していくことも少なくありません。
そのため、飼い主様が症状に気づいたときには、すでに腎臓の機能が大きく低下している場合もあります。
とくに中高齢の猫では慢性腎臓病の発症リスクが高くなるため、定期的な健康診断で腎臓の状態をチェックすることが早期発見に繋がります。
猫の慢性腎臓病の診断
猫の慢性腎臓病が疑われる場合、動物病院ではさまざまな検査を行って診断します。
主に次のような検査が行われます。
- 血液検査
- 尿検査
- 腹部超音波検査
- 血圧測定
血液検査では、
- クレアチニン
- 尿素窒素(BUN)
- SDMA
などの値を確認し、腎臓の働きを評価します。
尿検査では尿比重や尿タンパクの有無などを確認し、腎臓の機能を詳しく調べます。
腹部超音波検査では腎臓の大きさや形、腫瘍や結石の有無などを確認します。
また、慢性腎臓病の猫では高血圧が見られることもあるため、血圧測定も重要な検査のひとつです。
これらの検査結果を総合的に判断し、慢性腎臓病の診断と進行ステージを評価します。

猫の慢性腎臓病の治療
猫の慢性腎臓病の治療は、腎臓の機能を完全に回復させることではなく、病気の進行を遅らせて症状をコントロールすることを目的に行われます。
次のような治療を組み合わせることで、猫の体調を安定させながら長期的に管理していきます。
食事療法
慢性腎臓病の治療で最も重要なのが食事療法です。
腎臓病用の療法食は、
- リンの制限
- タンパク質量の調整
- 抗酸化成分の添加
など、腎臓への負担を減らすように設計されています。
療法食を継続することで、腎臓病の進行を遅らせる効果が期待できます。
点滴治療
猫の腎臓の機能が低下すると脱水が起こりやすくなるため、点滴によって体内の水分バランスを整えることがあります。
猫の状態によっては、自宅で皮下点滴を行う場合もあります。
薬物治療
薬物治療は慢性腎臓病によって低下してしまった機能を薬によってサポートすることが目的です。
薬物治療では猫の状態に応じて、次のような薬が使用されることがあります。
- リン吸着剤
- 吐き気止め
- 食欲増進剤
- 血圧を下げる薬
投薬自体が猫の食欲を低下させてしまうことがあるので、猫の性格と相談しながら投薬内容は決められます。
猫の慢性腎臓病と付き合うために自宅でできるケア
愛猫が慢性腎臓病と診断されたら、飼い主として何かしてあげたいですよね。
猫の慢性腎臓病は飼い主様が日常的なケアをすることで、慢性腎臓病の進行を遅らせることができます。
自宅では次のような点を意識しましょう。
- 水を飲む量の変化を観察する
- 尿の量や回数を確認する
- 体重の変化をチェックする
- 食欲の変化を観察する
- 定期的に動物病院で検査を受ける
猫は体調の変化を隠す動物のため、普段の様子をよく観察することが早期発見につながります。
また、慢性腎臓病は長く付き合う病気のため、定期的な検査で体の状態を確認しながら治療を続けていくことが大切です。

まとめ
猫の慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下していく中高齢の猫でよく見られる病気です。
慢性腎臓病は完治が難しい病気ですが、早期に発見して適切な治療と管理を行うことで、病気の進行を遅らせることができます。
当院では、猫の慢性腎臓病の検査や治療、長期的な体調管理まで丁寧にサポートしています。
「最近、猫の調子が落ちてきた」「猫が慢性腎臓病と診断された」という場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.猫が水をたくさん飲む場合、すぐに受診したほうがいいですか?
A.猫が急に水をたくさん飲むようになった場合は、慢性腎臓病のサインである可能性があるため早めの受診がおすすめです。
緊急性が高いこともあるため、様子を見すぎず、早めに動物病院で検査を受けることが大切です。
Q.猫の慢性腎臓病はどのような検査でわかりますか?
A.猫の慢性腎臓病は、血液検査や尿検査、超音波検査などを組み合わせて診断します。
クレアチニンやSDMAなどの数値を確認し、腎臓の状態を獣医師が総合的に評価します。
Q.猫の慢性腎臓病では自宅でどのような管理が必要ですか?
A.猫の慢性腎臓病では、水分摂取量や尿の変化、体重や食欲の変化を日常的に観察することが重要です。
定期的な通院とあわせて、食事療法や点滴などを継続することで状態の安定につながります。