犬の膀胱切開術|犬の膀胱に石ができる?獣医師が解説

笑っている綺麗なゴールデンレトリーバー

犬の膀胱切開術|犬の膀胱に石ができる?獣医師が解説

犬の膀胱に結石ができる場合があることを知っていますか?
犬も膀胱結石ができて頻尿になったり、おしっこが出にくくなったりすることがあります。
また犬の膀胱結石にはいくつかの種類があり、結石の種類によっては膀胱を開いて結石を摘出する膀胱切開術が必要です。

今回は膀胱結石の種類と膀胱切開術が必要になるケースについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬に膀胱結石が出来たときに役立てていただけると幸いです。

片足あげているボストンテリア

犬の膀胱結石について

犬の膀胱結石はミネラル分が膀胱の中で結晶化してできるもので、超音波検査と尿検査によって診断されます。
犬の膀胱結石には以下のようないくつかの種類があります。

  • シュウ酸カルシウム結石
  • ストルバイト結石
  • そのほかの結石

それぞれについて解説します。

シュウ酸カルシウム結石

シュウ酸カルシウム結石は7歳以上の高齢犬に多く、犬の膀胱結石の約50%を占める結石です。
シュウ酸カルシウムの原因は遺伝的な体質だと言われています。
シュウ酸カルシウムに対する治療は以下の3つが重要です。

  • 水分摂取
  • 食事療法
  • 外科手術

それぞれについて見ていきましょう。

水分摂取

なるべく水分を摂取することでたくさんの尿を作り、膀胱の中の尿を新しくして結石ができにくくなることが大切です。

食事療法

食事療法は、ミネラルの制限された専用の療法食を与えることでシュウ酸カルシウムの新しい結石の形成を防ぐ治療です。
しかし既にある結石を溶かすことはできず、完全に結石を予防することもできません。

外科手術

外科手術によって結石を取り除くこともあります。
シュウ酸カルシウムは食事療法や薬によって溶かすことはできないため、結石を取り除くためには膀胱切開術によって摘出する必要があります。

片足あげている雑種犬

ストルバイト結石

ストルバイト結石は比較的若い犬で発生が多く、膀胱結石の約50%を占める結石です。
ほとんどの結石はシュウ酸カルシウムかストルバイトのどちらかということになります。
ストルバイト結石は、細菌感染が原因である場合と遺伝的な体質が原因である場合があります。
ストルバイト結石に対する治療は、以下の3つが重要です。

  • 抗生物質の投与
  • 食事療法
  • 外科手術

それぞれについて見ていきましょう。

抗生物質の投与

抗生物質の投与は、細菌感染が原因でストルバイト結石が出来ている場合に行います。

食事療法

食事療法は、専用の療法食を食べることでストルバイト結石を溶かす治療です。
専用の療法食は尿を酸性に傾ける作用があり、尿が酸性になるとストルバイト結石は溶けてしまいます。

外科手術

外科手術はストルバイト結石の場合は基本的には選択されませんが、結石が尿道をつまらせている場合などの緊急的な状況では実施することがあります。

そのほかの結石

そのほかの結石としては、アンモニア尿酸塩結石やシスチン結石などがあります。
いずれも非常に発生はまれですが、簡単に説明をしておきます。

アンモニア尿酸塩結石

アンモニア尿酸塩結石は、ダルメシアンや特定の肝疾患(門脈体循環シャントなど)をもつ犬において発生することがあります。
食事療法で溶けることはないため外科手術によって摘出します。

シスチン結石

シスチン結石は、遺伝的な原因で発生する非常にまれな結石です。
シスチン結石は飲み薬によって溶かすことができます。

 

犬の膀胱結石の症状

犬の膀胱結石の症状は、頻尿や血尿、尿が出にくいといったおしっこのトラブルです。
膀胱結石があると膀胱粘膜に刺激があるため、尿意をもよおして頻尿になります。
結石の表面には雑菌が繁殖しやすいため、細菌性の膀胱炎によって頻尿や血尿の症状が出ることもあります。
感染が重度である場合は発熱や食欲の低下も見られるため、早めに治療することが大切です。

また膀胱結石は尿道閉塞を起こして、尿が出にくくなることがあります。
特に完全に閉塞すると急性腎不全を起こして命に関わるため、緊急手術を実施することがあります。

診察を受けるシーズー

犬の膀胱切開術の適応

犬の膀胱切開術は、膀胱を開いて中にある結石を摘出する手術です。
基本的には内科療法で溶けないシュウ酸カルシウム結石の摘出手術がほとんどです。
現時点で尿道閉塞を起こしていなくても将来的に尿道閉塞の原因になるため、早めに摘出手術を行っておくことが大切です。
すでに排尿障害を起こしている場合は緊急のため、療法食で溶けるストルバイト結石であっても外科的に摘出することがあります。

犬の膀胱切開術について

犬の膀胱切開術は膀胱を切開して膀胱内の結石を摘出する手術です。
膀胱の中にある結石を摘出する手術ですが、尿道内に膀胱結石が入り込んでしまった場合でも術前に膀胱の中に結石を戻す処置をすれば摘出することができます。
術後は療法食を与えることで再発を予防することが重要です。
ただ、膀胱切開術の適応になるのはシュウ酸カルシウム結石であることが多いため、完全に再発を防ぐことはできません。
術後も定期的に超音波検査などでチェックすることが大切です。

まとめ

犬の膀胱切開術は特にシュウ酸カルシウム結石の摘出に適応される手術です。
尿道に結石が入り込んでいる場合は、どのような結石であっても緊急で外科的に摘出することがあります。
緊急的な状況を避けるためには、愛犬のおしっこトラブルに気付いて、いち早く膀胱結石に対する治療を行うことが大切です。
また健康診断で結石が見つかることもありますから、定期的に動物病院を受診しておきましょう。

当院では、犬の膀胱切開術などの外科手術にも対応しています。
手術が必要な際にもわかりやすく丁寧な説明を行い、その子にとってベストな治療を飼い主様とともに考えています。
愛犬の頻尿やおしっこの出にくい様子に気が付いたら、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q.犬の膀胱結石は薬や療法食だけで治りますか?

A.犬の膀胱結石のうち、ストルバイト結石は療法食や抗生物質で溶けることがあります。
一方でシュウ酸カルシウム結石は溶かすことができないため、膀胱切開術による摘出が検討されることが多いです。

Q.犬が元気でも結石を摘出する必要はありますか?

A.犬に症状が出ていなくても、将来的に尿道閉塞を起こす可能性がある場合には摘出が勧められることがあります。
結石の種類や大きさ、位置を総合的に判断して治療方針を決めることが大切です。

Q.膀胱切開術のあとに再発することはありますか?

A.犬の膀胱結石は体質や尿の性状によって再発することがあります。
術後は療法食や定期的な検査を継続し、再発の早期発見に努めることが重要です。